研究内容

魚介類は食資源として利用されている生物種に限っても陸上生物をはるかに凌いでいます.しかしながら,その資源は有限であり,無駄にすることはできません.

その多岐にわたった生物たちが進化の過程で獲得してきた生物戦略を,生化学的,分子生物学的,生理学的,物理化学的,情報生物学的な手法を駆使して紐解きながら,それらをできる限り有効利用していくことが水産化学研究室の目指すゴールです.

研究対象とする生物種は微生物から哺乳類にまでわたり,その成果は,基礎科学の発展だけでなく,食品,エネルギー,環境分野に広がり,ヒトの健康やQOL向上にも生かされ,しっかりと社会にも還元されています.


研究テーマ

細胞内および細胞間情報伝達機構/Intra- and intercelular signaling mechanisms
エネルギー代謝制御機構/Mechanisms for the modulation of energy metabolisms
ストレス応答の生物学/Stress biology
水産食品の品質向上と安全の確保(毒,アレルギーなど)/Quality control of marine foods and securing food safeties (marine toxins, allergen controls)
魚食によるヒトの生活習慣病やアンチエイジング/Anti-ageing food
味覚改善物質の探索/Searching compounds for taste improvement of food
比較生物科学によるOne healthの実現/Global one health on the basis of comparative life sciences
水産業・養殖業の隆盛/Prosperity of fisheries and aquaculture
超高齢化社会におけるQOLの向上/Improvement of QOL in ageing societies

持続可能な開発目標(SDGs:sustainable development goals)達成への貢献

 下記の講義やゼミナールを通じて人間活動による地球環境への負荷などの題材を扱う教育および演習を行っている(SDGs14.2, 15.2, 17.4).

 講義
  ・海の生命科学(前期課程・総合科目):海洋生物の生命科学に加え,海洋生物資源の持続的な利用には何が必要かなどについても考える.
  ・ワンアーソロジーI,II,III(後期課程・展開科目):One Earth Guardians育成プログラム     https://www.one-earth-g.a.u-tokyo.ac.jp/
  ・農学ライフサイエンス研究倫理(後期課程・展開科目):ライフサイエンス研究が地球環境に及ぼす影響について考える.
  ・農学ライフサイエンス研究管理演習(後期課程・展開科目):ライフサイエンス研究が地球環境に及ぼす影響について考える.
  ・水生生物化学(後期課程・専修専門科目):水生生物の生物科学的理解をもとに持続的な利用について考える.

 ゼミナール
  ・農学入門(前期課程・全学体験ゼミナール):人間活動が地球環境に与えてきた負荷を農学でどのように低減・改善できるかについて考えるアクティブラーニング.